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Big Title

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Our research

~Analysis to synthesis~

生命現象の仕組みを解明するとともに、それを利用して新たなバイオプロセスの構築を目指した研究を行っています。

無細胞蛋白質合成系の効率化と利用技術の開発

 無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出液中に存在するリボソームや翻訳因子、tRNAなどの諸因子の働きにより、DNAや mRNAから遺伝子産物を生合成させるシステムであり、生体外タンパク質合成系ともよばれています。生細胞を用いるタンパク質発現システムに比べ以下のような利点があります。

1)反応条件の外部からの制御(温度、酸化還元状態、シャペロン、補欠因子などの添加)により、生細胞系では活性体としての発現が困難なタンパク質でも、正しくフォールディングさせることができる。

2)細胞にとって毒性を示すタンパク質を合成できる。

3)短時間(1時間から数時間)でタンパク質を合成できる。

4)PCR産物を直接鋳型DNAにできるため、多種類のサンプルを迅速に可能である。  

私たちはこの無細胞タンパク質合成系のさらなる効率化を目指すとともに、このシステムの特徴を生かした新たな利用技術を開発してきました。その一つが以下に紹介するEcobody法です。  

モノクローナル抗体は、食品検査、臨床検査、医薬、バイオセンサーなど様々な用途に用いられています。しかしその取得と製造にコストと時間がかかること、さらには得られる動物種に限りがあること、さらに作製困難な分子が数多く有るという欠点がありました。我々の研究グループでは、ヒトや動物の微量血液中に存在するB細胞を取り出し、その後B細胞1個からモノクローナル抗体分子の遺伝子を増幅し、無細胞タンパク質合成系によりFab抗体を迅速合成、評価できる技術を確立しました。さらに得られたFab抗体は、大腸菌などの微生物を用いることで、必要量を大量合成できる一気通貫のモノクローナル抗体選択・生産システム(Ecobody法と称している)です(図参照)。 当研究室の中野・加藤らは当技術をベースとして2018年に名古屋大学発ベンチャー企業iBody株式会社を立ち上げ、当研究室とは独立して運営されています。

現在、当研究室では、B細胞セレクション方法の工夫やリボソームディスプレイ法、バイオインフォマティクス技術、微生物によるタンパク質生産系を駆使し、Ecobody技術の高度化・簡易化を図り、より簡単に有用なモノクローナル抗体分子を探索・評価・生産できるシステム構築を目指しています。

(担当教員:中野、加藤)

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In vitro single-molecule display
for directed evolution of enzymes and enzyme substrates

Directed evolution is a method in protein engineering that mimics the process of natural selection to obtain proteins with desired properties, such as specificity, stability, high turnover, etc. Enzymes in nature have evolved to catalyze chemical reactions at a certain rate, specificity, etc., which are not always suitable for applications we need them for. The properties of enzymes can be improved by protein engineering, where directed evolution plays a key role. However, generated diversity requires efficient screening of large libraries with less investment of time, labor, and cost. cDNA display is an in vitro screening method developed to select functional proteins from large combinatorial libraries (~10^14) in a matter of days, using simple and robust protocols. It utilizes cell-free protein synthesis and covalent linkage between genotype and phenotype. Our project aims to develop a novel platform for the directed evolution of enzymes based on cDNA display technology coupled with next-generation sequencing and bioinformatics. Current targets include oxidoreductases, lipid-modifying enzymes, and bond-forming enzymes.

(Responsible staff: Dr. Jasmina Damnjanovic)

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新生ペプチドタグによる
翻訳促進機構の解明とタンパク質生産への応用
~安く・早く・簡単に、自由自在に有用なタンパク質を作る~

大腸菌や酵母などの微生物や動物細胞にてタンパク質を生産する技術は、バイオ研究・ 産業、持続可能な社会にとってますます重要になってきています。タンパク質は、すべての生命体においてmRNAからアミノ酸への翻訳、フォールディングなどの工程を経て作られますが、中にはなぜか生産が困難なものがあり「難発現タンパク質(Difficult-to-express protein)」と呼ばれ多くの研究者を悩ませる存在となっています。

そんな中、私たちのグループでは、大腸菌において難発現であるタンパク質のN末端に短いSKIKペプチドタグを付加し発現させると、その生産量を増大可能であることを見出しました。また、その新生ペプチドタグ自身が翻訳効率を向上させる機能を有する可能性がわかってきました。

本研究では、大腸菌や酵母をはじめ動物細胞系や無細胞タンパク質合成系を駆使し、翻訳促進可能な新たなペプチドタグの探索やRibosome profilingによる機構解析等を進めています。最終的には、新生ペプチドによる翻訳促進機構の理解と、微生物や動物細胞によるタンパク質生産への応用を目指しています。本取り組みで得られる新たな知見や技術は、各種タンパク質(抗体、酵素、分化因子、膜輸送体など)の探索や機能解析、バイオ医薬品や食品関連タンパク質の生産、翻訳されやすいワクチン開発など、様々な分野での活用が期待されます。

(担当教員:加藤)

プラスミドを鋳型とする場合の、SKIKペプチドタグ導入プロトコール簡易版をこちらで紹介しています。ぜひご参照ください。

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エマルジョンPCRを用いた
分子間相互作用スクリーニング技術の開発

近年、多様性を持つ集団から目的の機能を有する生体分子選択技術の開発が盛んに行われています。これらの選択技術は、in vivoで行うものとin vitroで行うものに大別されています。生細胞を用いないin vitroセレクションはin vivoに比べて迅速に、そして手軽に行うことが出来ます。

本研究室で開発されたW/Oエマルジョン内1分子固相PCR法は、油相中に分散した水相内(water in oil emulsion)で固相PCRを行い、マイクロビーズ上に1分子の鋳型由来のDNAを固定化出来る技術です。この手法を用いることによって、DNAライブラリーをより迅速かつ簡便なin vitroセレクションを可能とするビーズライブラリーへと変換することが出来ます。このビーズライブラリーに対し、蛍光標識した蛋白質等の標的物質を加えると、この物質と直接相互作用するDNAや、上記の無細胞蛋白質合成系と組み合わせれば標的物質との相互作用蛋白質をコードするDNA、といった目的のDNA配列を保持するビーズが蛍光を有することとなります。これらのビーズ-DNAはセルソーターによってハイスループットに選択され、目的のDNAを獲得することが出来ます。この一連のin vitroセレクションは、生体中における遺伝子発現制御機構の解明といった基礎的な研究や、有用な機能性蛋白質獲得を目的とした、医薬、化学工業への応用を目指した研究など、様々な分野への応用が期待されています。

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